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;----- シーン12 - カット01 - 百貨店『千里堂』
*start| PM12:30 百貨店「千里堂」
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[ mes_blind time="50" ]
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[cross_kirikae ms="2000"]
百貨店『千里堂』は、閉鎖施設ルーデシアを取り囲む壁の一角に張り付くような形で建設されている。[pg]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_15_normal.ogg" lp="true" ]
「いらっしゃいませ」[sl][r]
お仕着せのスーツ姿/店の人間は魂を分離させていなかった。[sl]
入り口を別にすれば、『千里眼』にあるゲートは、ルーデシアで私的に造られた唯一の外世界との接点だ。[pg]
外からやってきた人間は、ルーデシアの科学力で生み出されたものを手に入れようとする。[sl]
国家の衰退により貨幣の意味は消失したため、外世界特有の技術によって造られたもの、あるいは工芸品との交換を行う。百貨店というよりは、交易所と呼ぶ人間も多い。[sl]
外世界からの人間が多数やってくるため、『千里眼』は入店審査が行われる。入店を許可されるのは外在魂処理を行っていない人間、あるいは外観から人間性が脱落していない者に限られる。[pg]
「久しぶりだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「立ち止まっていると田舎者と勘違いされるよ」[sl]
「僕は洗練からほど遠いやつなんだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_02.png" ]
「ヤオはそれくらいでいいの」[sl]
「慰められた気がしないなぁ」[sl]
「いいから、来て」[sl][r]
[ char_all_clear ]
ルーデシアの手が僕を引っぱる。[sl]
ほんの少し身体が傾く/宙を泳ぐようにして、僕たちは客の間を進む。[pg]
見慣れない服装/外の人間がいくらか混ざっている。[sl]
一分おきにレースの柄が自己デザインされるドレスに、単純な会話をこなす知性化された熱帯魚/ショウケースに並んだ商品はルーデシアの技術を応用したものが並んでいる。
客の眼は品定めというよりは研究対象を見抜く眼差しだ。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_03.png" ]
「ここは品がないわ。上へゆきましょう」[sl]
経済への軽蔑/クルスはエレベータへと向かう。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_05.png" ]
「ヤオ! こちらへいらっしゃい!」[sl]
「子供みたいに言われてもなぁ」[sl]
[ char_all_clear ]
外世界での経済には興味を引かれるが、女性たちの望みが優先される。[sl]
「これもある種の経済か」[sl]
数人が行き交うことのできる通路の途中/半端に開けた場所にルーデシアたちが立ち止まっていた。[pg]
[ se se="ludesia_se_bell.ogg" lp="false" ]
「来た」[sl][r]
エレベータ/頭上から円盤が垂直に降りてくる。[sl]
僕たちが乗りこむと円盤の外周の景色が歪む/転落を防ぐ壁として空気を吹き上げている。[sl]
エレベータが上昇を始める。[pg]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_05.png"]
[bg_kirikae]
「うわぁ」[sl][r]
子供の定番/高いところに上ると下をのぞきたがる。[sl]
エレベータ/お子様への配慮も完璧/空気圧の一部が変更されて透明なのぞき窓となった。[sl][r]
「ヤオ、ルーデシアは子供じゃないもの」[sl]
僕は自分の頬を指さして見せた。[sl]
「怒ってないもの」[sl]
ぷしゅる、とルーデシアは膨らんだ頬から空気を抜く。[pg]
「大人はエレベータの中では黙って立っているものなんだ」[sl]
「ルーデシアは高いところから低いものを見下ろして楽しみたいだけ」[sl]
「その楽しさは理解しないでほしい」[sl][r]
垂直に移動していたエレベータがいくらか前進ぎみに方向を変えた。[sl]
店内数十カ所に配置されたエレベータの発着所/お客様を希望のフロアへ直接運ぶ。[sl]
エレベータは上下だけでなく前後左右に動くため、天井は通常の建築物の十倍近い高さがある。[pg]
「うん?」[sl]
ぼうっとしていた僕は、真下に広がる景色に眼が止まった。[pg]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_04a.png"]
[cross_kirikae ms="1000"]
「なにもない」[sl][r]
ルーデシアも興味を引かれたらしい。[sl]
百貨店一階/ちょうど中央に位置する場所から販売物が撤去されていた/何もなくただ模様の入った絨毯が敷かれている。[pg]
「舞踏場」[sl]
答えはクルスの口からもたらされる。[sl][r]
「絨毯の柄がダンスのときのものになっている。それに、音楽を流すスピーカの数がただの催しにしては多すぎる」[sl]
僕とルーデシア/子供っぽい仕草でクルスの示したものを見る。[sl][r]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_05.png"]
[cross_kirikae ms="1000"]
「クルスはよく知っているのね」[sl]
「貴族にとってダンスは、教養とすら言えない日常」[sl]
「ふぅん」[sl]
わかってしまえば興味がないのか、ルーデシアは半透明の壁から顔を離す。[pg]
「クルスは懐かしい?」[sl]
「ダンスが? そうね」[sl]
ルーデシアの問いに、クルスはうなずいた。[sl][r]
「奇妙に濁った色のライトばかり覚えている。ヤオは貴族の存在を疑っているのでしょうが」[sl]
「クルスとルピシアしか見たことがないからね」[sl]
否定はしなかった。[sl]
貴族/華族/閉鎖施設ルーデシアの創設に関わったとされる閉鎖世界以前の権力者たちは、今や伝説に近しい存在だ。[pg]
「経済がおままごとになった今でも存続しているのかは、疑わしいところだ。けれど、おままごとの経済から産まれたルピシアみたいな華族はいるのかもしれない」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]あの女の話は不愉快。[ resetfont ][sl]
むくれるクルス/ルーデシアは彼女を真似たらしい。圧倒的物量とかいうものをまだ引きずっているのか。[sl][r]
「あとでじっくりと話し合いましょう」[sl]
「なんで……、どうか許してください」[sl]
口が謝罪の言葉をまくしたてていた。[pg]
「もう着くのに二人は黙っていられないの?」[sl]
ルーデシアは言い合う僕たちをにらむ/大人びた態度に、僕たちはなんとなく気まずくなってしまう。[sl]
天井の一部がスライド/エレベータを収容するための穴が開く。[pg]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_03a.png"]
[bg_kirikae]
『到着いたしました』[sl]
空気の壁全体が振動して、アナウンスの音声を再生/周囲から空気の圧搾音が消える。[pg]
『お降りください』[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「行きましょう」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_cruth_01.png" tatie2="lud_st_ludesia_02.png" ]
「早くお着替えがしたいよぉ」[pg]
[ char_all_clear ]
「待った。今回は無駄遣いを許したとはいえ次からはそうはいかない。今日も無駄なものを買わないよう予算と倹約の精神で」[sl]
顔を上げた。[sl]
「無駄ですか」[sl]
聞いちゃいない/クルスはルーデシアの手を引いていた/とにかく僕から遠ざかろうとする意思が伝わってくる。[pg]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]ここまで来て倹約を説く自分を無様と考えはしないのか?[ resetfont ][sl]
経済原則に勝てるものか、ちくしょう。[sl]
僕の先をゆく二人が噴き出した。僕の愚痴を笑ってくれた。[sl][r]
「畜生」[sl]
クルスを真似て、どうにもならない現状を呪うことにした。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_07.png" ]
「ヤオ、お財布がいないと始まらないわ」[sl]
[ char_all_clear ]
「紐を固く閉めたくなってきた」[sl][r]
僕の思考はまだ倹約なんて脆い救いにすがりつこうとしていた。[sl]
二階は女性向けの装飾品を中心に扱っていた/値札のひとつが眼に入る。[pg]
「衣服の装飾性を追求していたのは、物質至上主義だった時代の遺物でなかったのか」[sl][r]
値札に、僕、目眩。[sl]
しみったれた愚痴/近くにいた婦人がちょっと笑う/僕は力なく笑い返すと、面白そう、そんな顔をしてご婦人が首をかしげた。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_05.png" ]
「ほら、早く来るのぉ」[sl]
あらぬ方向からの力/僕はルーデシアに引っ張られる/ご婦人の眼から関心が失せる。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_03.png" ]
「ヤオは困った人なんだからぁ」[sl]
「意味がわからない……、さっきの人は貴族かな」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_05.png" ]
「情報の隠匿と透過性は永遠のテーマだよ……、そんなに出会いがほしかったの?」[sl]
「眼があったくらいのことに、そこまで考えられない」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_06.png" ]
「貴族っていうのは誰でもいいの。なんでもくわえこもうとするものなの!」[sl]
「くわえこむ? それはどういう方言?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「貴族で申し訳ありません」[sl]
クルスが、どうしてか冷たい眼をしていた。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_07.png" ]
「貴族はロマンスしか必要としないの、ルーデシア」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_06.png" ]
「表現なんかどうだっていいの、問題は引っぱりこんでからやらかしちゃうことなのぉ」[sl]
[ char_all_clear ]
「何を」[sl]
僕は問う。[sl][r]
「それは」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_10.png" ]
「ルーデシア?」[sl]
ルーデシア、赤面。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_08.png" ]
「クルス?」[sl]
クルスも、同様だ。[pg]
[ char_all_clear ]
「えっと……」[sl]
この嫌な具合に息詰まる空気はなんなのか。[sl][r]
「どういうこと?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_05.png" ]
「わかってよぉ!」[sl]
「しかられた……」[sl][r]
[ char_all_clear ]
知らなくていいらしい。[sl]
僕は黙ってルーデシアの頭をなで、クルスの肩を叩いた。[pg]
[ char_all_clear ]
「ドレスを受け取りにゆこう」[sl]
「その手があった」[sl]
クルスは名案の真偽を問うためか、真顔になっていた。[sl][r]
「ドレスにはダンスフロア」[sl]
「なるほど」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]踊るのは悪くないじゃないか、ええ?[ resetfont ][sl][r]
一応の使いみちはできたらしい。[sl]
今日はもう仕事にならない、諦めつつある僕がいた。[pg]
[bg_hyojib bgb="bg_black.png"][bg_kirikae]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_02.png"][bg_kirikae]
;----- シーン12 - カット02 - コザクラ登場[sl]
仕立て屋のフロアに着いた僕たちを、店員たちのひきつった笑みが迎えた。[pg]
[ fadeoutbgm time="1000" ][wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_16_normal.ogg" lp="true" ]
「んまぁルーデシアちゃんのご来店!」[pg]
目の前の空間にノイズが走った。[sl][r]
[ mes_blind time="300" ]
[ cut_in img="lud_cu_s12_c01_01.png" time="1000"]
[ mes_appear time="300" ]
「ご無沙汰だったじゃないのぅ」[sl]
ノイズが一定の秩序に従う/形を持ってゆく。[sl][r]
[ cut_in_clear time="200"]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「んでも、そろそろウチのレストランの味が恋しくなるころだと信じていたわぁ!」[sl]
着物姿の人間/向こう側の風景が透けて見える。[sl]
『千里眼』の支配者コザクラ、身体をくねらせつつ立体映像でご登場。[pg]
[ char_all_clear ]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_03.png" ]
「こ、こんにちわ、コザクラ」[sl]
実に会いたくなかった。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「あぁら、まだルーデシアちゃんは人見知りするのぅ? 私とルーデシアとの仲なのにコザクラは悲しいわぁ」[sl]
[ char_all_clear ]
コザクラが身もだえするたびに、胸先近くまで伸びた長い前髪が左右に揺れる。[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]鬱陶しい! 切ってやりたい![ resetfont ][sl]
同感だった。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「ルーデシアちゃんが来るってわかってたら、ちゃあんとおもてなしをしたのにぃ」[sl]
またコザクラが身体をくねらせる/着物の柄が動的に再描画される/立体映像のファッションセンスとコザクラは主張。[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_03.png" ]
「来るって……、どうせコザクラはルーデシアの受け取り記録をチェックしていたんだよね?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「野暮で雅でないルーデシアちゃんがまた愛らしいわ、抱きしめてあげたい! んもぅ!」[sl][r]
[ char_all_clear ]
可能な限り遠ざかってしまいたい僕だった。[sl][r]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]わたしもお付き合いいたします。[ resetfont ][sl]
仲間もできた。[pg]
「抱きしめるって、立体映像では無理だろう」[sl]
そろそろルーデシアが泣き出しかねない/僕は口を挟むことにした。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「ヤオ、いたの?」[sl]
切り替え/年齢相応な女性の口調でコザクラが言う。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「気がつけばクルスもいたんだ。いつ見ても惜しいわぁ」[sl]
「聞きたくないけれど、何が」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「あと五歳若ければ、わたしの範囲内だったのにぃ」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]わたしは命を長らえた![ resetfont ][pg]
[ char_all_clear ]
「ルーデシア、クルス、商品はキャンセルだ。帰ろう」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「いらっしゃいませ財布いえお客様ぁ」[sl]
実に商売人らしい態度だった。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「ヤオがくるなんて珍しい」[sl]
クルスとルーデシア/ドレスの最終調整/試着室へ向かってゆく姿を見送る。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「まぁファッキン[ ruby text=" リ ア ラ イ" ]肉体主義者のヤオなんかどうだっていいとして、私は大切な大切なお客様のご機嫌うかがいをしてこないとそれではごきげんよう」[sl]
[ char_all_clear ]
言いたいことだけをわめいた/コザクラはさっさと僕に背を向けようとする。[pg]
[ fadeoutbgm time="1000" ][wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_27_fine.ogg" lp="true" ]
「待った」[sl]
[ qk time="100" ]
線虫弦/糸に足を引っかけた立体映像/コザクラはすっころんだ。[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「なんてことするのよぅ! んもぅ!」[sl]
壁に取り付けられた描画装置が画像の再描画/立ち上がったコザクラの姿/眼鏡にヒビ/どうだっていいリアリティをコザクラは忘れない。[pg]
「どうしてルーデシアたちのところへ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「乙女の生着替えが待っているのよ!」[sl]
[ char_all_clear ]
店員と僕はわかりあう/頭痛を分かち合う。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「ヤオはのぞきたいと思わないの!?」[sl]
「二人は下着のままうろつくから、うんざりしている」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「天国を馬鹿にしている!?」[sl]
[ char_all_clear ]
話すだけで気力がすり減ってゆく。[pg]
[ fadeoutbgm time="1500" ][wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_15_normal.ogg" lp="true" ]
「忙しいときに悪かったね」[sl]
僕は気を紛らわすために糸を操作する/ついでに話を変える。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「忙しい? なんのこと?」[sl]
「ダンスフロアのこと」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「アレは前々から予約されていたから問題はなかったわ。準備だって建築体任せだった」[sl]
「建築体を動かすスクリプトが大変だったろう」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「私が? この[ ruby text=" らいらい" ]来来たるコザクラに労力を問うの?」[sl]
眼鏡のレンズが数万色に明滅する/奥にある瞳に人間の傲慢さが宿った。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「タイプしてスクリプトを生成するなんて低俗な[ ruby text=" リ ア ラ イ" ]肉体主義者と[ ruby text=" らいらい" ]来来の私をを一緒にされるのは屈辱よ」[sl]
着物の模様が蠢く/赤と黒/好戦の色に染まってゆく。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「コードにおける圧倒的速度と物量を得るために、私は肉体を切り捨てたのよ。振る舞いの一切をスクリプトと化し、電子的たる魂に私たち来来は成り上がった」[sl]
「ルーデシアの言葉には、意味があったらしい」[sl][r]
[ char_all_clear ]
外在魂、第二のアプローチ。[sl]
人類の派生形、その一つ/魂の電子化/ネットワークを移動し、立体映像を姿とする生物種の到来。[sl]
ルーデシアが外の様子を確かめるために、街中に取り付けられた通信端末/千里眼を独自に改造し、立体映像で自らを描画するようになった。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「何を言っているのよぉ」[sl]
[ char_all_clear ]
来来/いたる場所への存在/偏在を意味する古い言葉だ。[sl]
いつしか肉体を捨てた人間たちそう名乗るようになった。[pg]
「今日のダンスフロアは、来来のためか」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「どうしてそう考えるの?」[sl]
コザクラは今さらという顔だった。[pg]
「ルーデシアたちが知らなかった」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「ルーデシアちゃんが外部に関心を持つだけの慈悲を持ち合わせている?」[sl]
「あと、この百貨店に着飾った人間がいない」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「ずいぶんと便利な糸ね……、ついでに足を縛ったままのコレを外してくれると嬉しいのにぃ」[sl]
「外したらルーデシアのところにゆくだろう」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「裸よ!」[sl]
操作/さらにコザクラの足をきつく縛り上げる。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「痛い! 痛い! 電子化しても魂は苦痛を切り離せないのよ!」[sl]
「終わるまでここにいてくれればいい」[sl]
[ char_all_clear ]
僕はダンスフロアを見下ろす。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「ヤオみたいに生きることに必死な肉体主義者どもには、高尚なものは理解できない?」[sl]
「僕に関して言えば同意だ。けれど、ルーデシアたちは参加したかったらしいね」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「ルーデシアちゃんのドレスをかぶりつきで見たいけれど……、これは私たち来来ためのイベントだから」[sl]
コザクラは困った顔をする/来来という新たな人種の先駆者の一人が見せる顔の一部だ。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「私たちの社会には私たちなりの面倒さがつきまとうの」[sl]
先駆者の務め/来来たちの社会をまとめる役目/コザクラは凝ったというように、自分の肩をを叩く。[sl][r]
「閉鎖的な考えだね」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「閉鎖こそがこの時代の思想でしょうに。物質と情報の過多はひたすら人間を分散と細分化の方向に進ませるのは必然よぉ」[sl]
[ char_all_clear ]
「こんな狭い場所にも社会の階層化があるんだ。コザクラは間違っていない」[sl]
[ ruby text=" リ ア ラ イ" ]肉体主義者と[ ruby text=" らいらい" ]来来/二層化された世界はほとんど没交渉と言っていい。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「想像した以上に、後生大事に肉体を守ろうとする人間が多いとはね。人間は前進する生き物でなかったのかしらねぇ」[sl]
コザクラは軽蔑の笑みを浮かべる/着物に監視カメラの映像/肉体を持つ人間たちが映し出されている。[sl][r]
[ char_all_clear ]
「来来の社会のイベントを、僕たちが知らなくても当然か」[sl]
僕は試着室の方を向く。しばらくクルスたちが出てくる様子はない。[pg]
[ fadeoutbgm time="1000" ][wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_27_fine.ogg" lp="true" ]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「そこの財布、言いたいことがあった。ルーデシアちゃんの手前言い出しづらかったけれど、ヤオは別」[sl]
「うん?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「金を払え」[sl]
「ドレスの代金ならあとで払う[ ch text="――" ]」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「[ ch text="――" ]他にもよぅ」[sl]
[ char_all_clear ]
「ドレスだけじゃないの?」[sl]
聞きとがめた。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「これだから男は……、ドレスには下着を合わせるに決まっているじゃないよぉ」[sl]
「お、おいくらでしょうか」[sl][r]
コザクラは金額を告げた。[sl][r]
「………………………ああ」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]や、ヤオってばそんな言語化不能なほどに怒ることはないと思うの![ resetfont ][sl]
珍しく腰の低いなクルスの思考/あとで言いたいことがあると転送/クルス沈黙。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「ヤオ……、ヒトじゃない顔はやめた方がいいと思う。お店の子も怖がっているわぁ」[sl]
「倹約は人道に則ったことだと思うんだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「馬鹿にしたいところではあるけれど、今は黙っておく」[sl]
コザクラが退く/僕がどんな顔をしているのか自分ではわからない。[pg]
[ char_all_clear ]
[ fadeoutbgm time="1500" ][wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_30.ogg" lp="true" ]
「僕たちの状況をどれだけ知っている?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「肉体主義者どもの事情なんて、知りたがる私と考える?」[sl]
「ゾンビー騒ぎのことは」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「家族サービスにくるような人間とは思っていなかったけれど……、ヤオはわたしたち来来を疑っているの?」[pg]
「ゾンビーの数が多すぎるんだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「それだけで私のところへ? よっぽど手がかりがないみたいねぇ」[sl]
「否定はしない。ただ生体的な魂の抽出よりは電子的に魂を抜き取ったと考えた方がしっくりくるんだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「効率ね」[sl]
コザクラは即座に言う。[pg]
「生体的な抽出にはそれなりの施設に、魂の移行先の選定、肉体の保存とコストがかかる」[sl]
「その点、電子的な処理であればただ吸い出すだけでいい。魂の電子化アルゴリズムは一応の完成を見ており、魂の移行先も必要としない」[sl]
「物理制約からの解放こそが、デジタルの利点だろう」[sl]
「否定はしない」[sl]
コザクラは肩をすくめる/着物に僕の苦笑いが描画された。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「電子的に魂を抽出するだけで、簡単にゾンビーを量産できる。けれど、理屈であって事実はどうだかわからないわぁ」[sl]
[ char_all_clear ]
「だからここにいる」[sl]
コザクラの着物が瞬く/僕の糸が広域ネットワークへの通信を感知した。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「噂は広がっている」[sl]
コザクラの通信/着物が文字列で埋まる/足首を縛る僕の糸へ文字列が雪崩れこんだ。[pg]
[ char_all_clear ]
「っ」[sl]
視界を無数に近しい分量のテキストが埋め尽くす/頭痛として負荷がやってくる/反射的にフィルタをかけて消去した。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「百万ワードくらいコンマ一秒以内に処理なさいな」[sl]
「人間の脳は逐語処理には向かない。コザクラは知り尽くしているはずだろう」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「ええ。ヤオが嫌がると思ってやったのよぅ。でも、かわいそうなヤオのために文脈だけ話してあげようか?」[sl]
「言葉で頼む」[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「来来の総意は、ゾンビーの発生と魂の電子抽出は関係がないと判断している」[sl]
「効率を口にしたのはコザクラだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「繰り返すけれど、効率的だからと言って事実と限らないでしょうに」[sl]
[ char_all_clear ]
「文脈から離れたコザクラの意見は?」[sl]
反論は難しい/疑問の角度を変える。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「来来は生物への関心が基本的に低い」[sl]
「来来たちは何も知らない、そう判断していいのか」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「そうね。来来とあなたたちの社会はほどんど接点を持とうとしない。そも肉体主義者を軽蔑しているからこその来来よ。戒律も守らせている」[sl]
「戒律」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「私たち来来になるときは、肉体を責任もって処理することが掟。それに、肉体を残しておけば電子化したゾンビー化してしまうかもしれない。いいことはないわ」[sl]
「戒律を守らない[ ruby text=" フリークス" ]怪物だっている」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「私が、そんな不純を許すと思う?」[pg]
[ char_all_clear ]
コザクラの全身が赤と黒に染まる。[sl]
コザクラの示唆/来来は肉体を軽蔑する。[sl][r]
「だとすれば僕の意見はすべてお手上げだ」[sl][r]
好意的に解釈しても、方向性が見えかけた程度だ。[sl]
振り出しに戻ったのだと考えると、ため息が出そうになる。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「しかし、よりによってヤオたちが教会特区の使い走りをするとはね」[sl]
「使い走りをしているから、ここの支払いができる」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「救いがたい肉体主義者の極みねぇ」[sl]
「だったら払いは今度にする」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「即払え」[sl]
わかりきっていた。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「神がどうとか抜かして魂を肉体に縛りつける下劣な奴らと、魂を純化した私たちとそりが合う訳がないわ」[sl]
[ char_all_clear ]
僕へ向ける以上の軽蔑/コザクラは表情を隠そうとしない。[sl][r]
「教会特区に恨みを持つ誰かが魂を抜き取り、ゾンビーをばらまいているということは?」[sl]
「思想は気にくわない」[sl]
思考/ゾンビーをばらまくことで、教会特区を攻撃しようとする誰かがいる可能性はどうだ?[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「教会が気にくわないのは私たちだけじゃない」[sl]
「それは?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「教義への解釈による対立の繰り返しは、歴史が証明しているでしょう?」[sl]
「コザクラの見立ては」[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「外在魂を否定する教義を嫌がる、内部の人間だっているでしょう」[sl]
抽象的なコザクラの言葉/具体的な答えを持っていない。[pg]
[ fadeoutbgm time="1000" ][wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_16_normal.ogg" lp="true" ]
[ char_c tatie="lud_st_range_01.png" ]
「コザクラさん、ここにいた」[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「ダーリン! 会いに来てくれたのぉ!?」[sl]
僕の肩ごしにコザクラは目を輝かせる。[sl][r]
[ char_all_clear ]
「いやぁん、会いたかったわぁ」[sl]
幽霊めいた動き/僕の身体をすり抜けてコザクラが突進する。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_range_01.png" ]
「はは……、コザクラさんとは数時間前に話をしていたばかりなのに」[sl]
[ char_all_clear ]
「いつもどおりですね」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_range_01.png" ]
「お久しぶりです、ヤオさん」[sl][r]
[ char_all_clear ]
抱きついたという風なコザクラの立体映像に苦笑い/レンジは僕に頭を下げる。[pg]
「ダーリンってば私がここにいるんだから、商売の話なんかしないでよぉ。んもぅ!」[sl]
「ヤオさんは大切なお客様じゃないか。そうはいきませんよ」[sl][r]
「肉体主義者への軽蔑、ね」[sl]
肉体主義者への軽蔑/矛盾して肉体を持つレンジへ甘えるコザクラに目眩がする。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_range_02.png" ]
「どうかしましたか?」[sl]
[ char_all_clear ]
「矛盾を受け入れてこその人間かなと思ったんです」[sl]
レンジは首をかしげた。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_range_02.png" ]
「そうだコザクラさん、もう来来の方たちがやってくる時間です」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_range_02.png" tatie2="lud_st_kozakura_02.png" ]
「そうだったわぁ。さすがダーリンねぇ」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_c tatie="lud_st_range_01.png" ]
「はは……、ヤオさんももうじきですよ」[sl]
「えっ」[pg]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]素晴らしい仕立てね。[ resetfont ][sl]
フロア奥にある試着室から、二人の姿が近づいてくる。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_range_01.png" ]
「いつもお買い上げありがとうございます」[sl]
「こちらこそ、いい物を選んでいただいて」[sl]
「もちろん、それが私どもの仕事ですから」[sl]
[ char_all_clear ]
素直に笑うレンジ/皮肉が通用しなかった/亭主から見えない角度でコザクラが僕を笑っていた。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_02.png" ]
「ヤオ、ありがとう」[sl]
ルーデシアは大きな箱を抱きしめて、僕を見あげた。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_07.png" ]
「いいの、淑女はちゃんと着飾らないと」[sl]
[ char_all_clear ]
「そのお金は……、いいか」[sl]
僕は言葉を濁す/互いのドレスを褒め合うクルスとルーデシアの姿に、細かいことを言う気分が薄れてしまう。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「ルーデシアちゃんのを見たかったわぁ、着替えを」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_03.png" ]
「ドレスを見たいんじゃないんだ……」[sl]
足を縛っておいてよかった、僕は判断の正しさにうなずく。[sl][r]
[ char_all_clear ]
「お披露目は歌劇を見にゆくときかな」[sl]
「ドレスはどうだった?」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]お前をたぶらかしてやろうか?[ resetfont ][sl]
「コザクラ、何かをつかんだら教えてもらえないか?」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]淑女の魅了を無視するなんて![ resetfont ][pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「顧客サービスをねだるのはどうかと思うけれど……、肉体主義者どもに痛くもない腹を探られるのは気に入らないが……」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_kozakura_04.png" tatie2="lud_st_range_02.png" ]
「コザクラさん? また危険なことをしようとしているんですか?」[sl]
[ char_l tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「いやだぁダーリンってば、危険なことなんか何もないってばぁ」[sl]
「だったらいいんですが……」[sl]
[ char_r tatie="lud_st_range_01.png" ]
レンジは納得している風ではなかった。[pg]
[ char_all_clear ]
「ルーデシアたちのドレスもあれでいいみたいだし、支払いをしてしまおうか」[sl]
コザクラとレンジの追求を回避しようと、僕は話を変える。[sl][r]
「わかった[ ch text="――" ]」[sl]
[ fadeoutbgm time="1500" ][wb]
[bg_hyoji bg="bg_black.png"]
応じる前に、店内の照明すべてが一斉に消えた。[pg]
;----- シーン12 - カット03 - 敵襲[sl]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_11_ludesia.ogg" lp="true" ]
[ mes_blind time="300" ]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_01.png"]
[cross_kirikae ms="300"]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_01b.png"]
[cross_kirikae ms="300"]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_03a.png"]
[cross_kirikae ms="300"]
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[cross_kirikae ms="300"]
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[cross_kirikae ms="300"]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_04b.png"]
[cross_kirikae ms="300"]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c03_01.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]
[ mes_appear time="300" ]
採光窓のない建築/暗くて数メートルの見通しもきかない。[sl]
事態が飲みこめていないのか、客も店員は何事かと小声で言葉を交わす。[sl]
けれど、長くは続かなかった/あちこちで客が店員に食ってかかる/すぐに復旧いたしますから/必死になだめようとする店員/コザクラを呼ぶ声があちこちから。[pg]
「店員がパニックになったらお客様を不安がらせるでしょうに」[sl]
僕の耳元にコザクラの声がした/着物の表面を演算が走る。[sl][r]
「はい、これで再点灯と」[sl]
即座に別系統の電源が作動。[sl][r]
「バックアップまでファックされた」[sl]
照明は暗いままだった。[sl]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c01_01c.png"]
[cross_kirikae ms="1000"]
百貨店の自家発電装置/緊急用の照明のみが点灯する。[pg]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s12_c03_01.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]
「復旧は」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「すぐに。そうでないと私が死んでしまう」[sl][r]
[ char_all_clear ]
見たことのないコザクラの真剣な目つき/緊急用のコードが着物全体に描かれる。
コザクラ/電子世界のみに生きる来来/百貨店の電源管理には神経質なまでに気を配る。[sl]
一秒ごとに居合わせた客たちから冷静さが消えてゆく。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「どうなっているのよぅ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_06.png" ]
「ここはコザクラの領域でしょう?」[sl]
ルーデシアの指摘/どこか嬉しそうな響きがある。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「電力とネットワークがなかったら、私はただの立体映像よぉ。すこしくらい私のことをいたわってよぅ」[sl]
コザクラはおどけた風に言う。[sl]
モニタと化したコザクラの着物を、硬質なコードが上から下へスクロールしていた。[pg]
[ char_all_clear ]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「先手を打たれてばかり」[sl]
「コザクラでも時間がかかるのか」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「即興じゃない」[sl]
着物が赤く染まる。[sl]
エラー/エラー/エラー/大量の拒絶メッセージが表示された。[pg]
「私のやり口がすべて先回りされる。侵入者はずっと前からここのシステムを黙らせる準備を整えていた」[sl]
来来としてのプライド/コザクラは電子戦において手玉に取られている現状を認めようとしていない。[sl]
「ヤオのスパイダリングなら、電源は関係ない」
「すぐにやる」
[ se se="ludesia_se_fx_spidering_01.ogg" lp="false" ]
スパイダリング/コートから極微の糸が飛び出し、百貨店の至る所へ情報を求めて分散してゆく。[sl]
張り巡らしていた線虫弦に命令/情報をかき集めろ。[pg]
「どうして百貨店を」[sl]
スパイダリングに並行して、僕はコザクラの推測を問うた。[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「私が神様の嫌う来来だからでしょうよ」[sl]
「だとしたら、今、コザクラを狙おうとする目的は?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「私とルーデシアちゃんとのお楽しみを不潔だって排除しようとしているとしか思えないわぁ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_03.png" ]
「不潔って意識はあったんだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「清潔なものにどれだけの価値があるって言うのよぅ」[sl]
[ char_all_clear ]
「ルーデシアをいじらないで……、来た」[sl]
<状況/情報を取得/表示選択/画像データ>[sl]
暗闇の中に光の線が縦横に瞬いた。[pg]
[ fadeoutbgm time="1000" ][wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_21.ogg" lp="true" ]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]匂いがするぞ。[ resetfont ][sl]
線虫弦/情報が映像に翻訳/コザクラの着物をモニタ代わりに。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
「冗句だったのに、本当に消毒しに来たのかしらねぇ」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]実に神臭い! 民草の悪臭だ![ resetfont ][sl][r]
[ char_all_clear ]
僕とクルスは映像を共有する。[sl]
映像/一階フロアにある運搬マシン専用の搬入口/貫通力にすぐれた火薬特有の黒煙が漂っていた。[sl]
「一機でどれだけすると思って……」[sl]
コザクラの愚痴を聞き流す/侵入経路には誰もいない。[sl]
壁に穴を開け、側にいた運搬マシンをなぎ倒していた。[pg]
映像を切り替える。[sl][r]
[ mes_blind time="300" ]
[ cut_in img="lud_cu_s12_c02_01.png" time="300"]
[ mes_appear time="300" ]
「こいつらは」[sl]
映像/教会特区の信徒たちが分散し、各階へ移動しつつある。[sl]
「知っている」[sl]
マスマティカの側にいた、僕に敵意を抱いていた信徒たちだ。[sl]
映像/カソック姿の男がガラスケースに銃弾を撃ちこむ。[pg]
[ cut_in_clear time="300"]
[ char_double tatie1="lud_st_kozakura_05.png" tatie2="lud_st_range_02.png" ]
「ちょっと、いくらだと思っているのよぉ!」[sl]
コザクラ夫妻が値段を口走る/聞いたことのない金額/僕たちは顔を見合わせた。[sl][r]
[ char_all_clear ]
「声も拾った」[sl]
[ se se="ludesia_se_gun_off_01.ogg" lp="false" ]
着物の表面が細かく振動する/スピーカがわりに。[pg]
『ヤオ・マクマナス、いることはわかっている!』[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「ご指名みたいだけれど、ヤオは教会から仕事を受けているんじゃないのぉ?」[sl][r]
[ char_all_clear ]
[ cut_in img="lud_cu_s12_c02_01.png" time="300"]
『貴様は教会の神意を汚した! 断じて許されることではない!』[sl]
[ se se="ludesia_se_gun_off_02.ogg" lp="false" ]
着物の表面から突撃銃の作動音が飛び出した。[pg]
[ cut_in_clear time="300"]
「いやあぁっ! 何が起こっているのよぉ!」[sl]
実際の銃声と勘違い/僕たちの周囲で客が混乱をわめく。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_range_02.png" ]
「新人教育をしくじったかな。お客様の前では冷静に、親切にと教育したはずなのに」[sl]
奇妙に間延びした口調でレンジが言う。[pg]
[ char_all_clear ]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「汚したって、何をしたの?」[sl]
「僕は何も[ ch text="――" ]」[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_04.png" ]
「[ ch text="――" ]阿呆なヤオは聖女リリクス様に飴玉を差し上げたの」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_range_02.png" ]
「それは」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_range_02.png" tatie2="lud_st_kozakura_05.png" ]
「すごい」[sl]
コザクラ夫妻、絶句。[pg]
[ char_all_clear ]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「あんた、教会の信じる神を子供扱いしたっての?」[sl]
「見たままの子供じゃないか」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「神を人間のレベルまで引きずり落とすなんてこと、許せる訳ないでしょうに」[sl]
「僕の故郷ではお供えをするのだけれど」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_04.png" ]
「阿呆! ここの神は教会特区なのよ!」[pg]
[ char_all_clear ]
『聖女様の名を汚したヤオ・マクマナスはどこにいる!?』[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_05.png" ]
「あんたのせいで商品破損額が……」[sl]
[ char_all_clear ]
「ヤオの女癖のせいだよ」[sl]
「不潔。不実」[pg]
「どうして僕だけが悪者に……、けれど、今は何を言ったってどうにもならない」[pg]
冷たい視線を受け止める。[sl]
言葉の最後には全員がうなずく/今は生き延びることがすべてだ。[pg]
;[ fadeoutbgm time="1500" ][wb]
[bg_hyojib bgb="bg_black.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]
[ jump storage="lud_s13.ks"]