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; ■ lud_scene20.txt 世論操作
;----- シーン20 - カット01 - 状況の変化
*start|AM07:00 自宅
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数日が経過した。[sl][r]
絞られた照明/誰もいないキッチン/僕はひとりテーブルで『ハッシューハッシュ』をめくる。[sl]
新聞をめくる/ラリーは姿を現さない。[pg]
時間の経過によって生じた展開。[sl][r]
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ゾンビーは姿を消し、マスマティカ率いる正統派は事件の犯人をプラグマと宣言した。[sl]
マスマティカの公的な発言を前後して、ゾンビーの出現はなくなった。[sl]
わかりやすい状況に、世論はプラグマへ集中した。[sl][r]
反論はない。プラグマそのものが壊滅した以上、反論する人間がいない。[sl]
一方的に非難をし続けられる/マスマティカにとっては最高の状況だ。[pg]
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「やっと眠った」[sl]
ルーデシアを寝かしつけたクルスがやってくる。僕の向かいに腰を下ろす。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_02.png" ]
「また、ヤオはそんなものを読んでいる」[sl]
「外からの眼だって必要だ」[sl][r]
[ char_all_clear ]
僕は紙面に眼を止めたまま、クルスに応じる。[sl]
僕たちだけが知る事実/プラグマの無実/異端派への疑惑。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_03.png" ]
「そんなものを読んだって、ラリーを見つけることはできやしない」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]魂の怯えを感じるぞ。[ resetfont ][sl][r]
[ char_all_clear ]
手が止まりそうになる。[sl]
ラリーは見つからない、という部分だけが僕の耳で膨れあがる。[pg]
「ラリーは、何があったって死ぬような人間じゃない」[sl]
僕は怯えを押し殺す/かたくなにラリーの情報を待ちたくなる。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「わたしたちを除けば、ラリーが一番事実に近づいていた」[sl]
けれどクルスの性急さが僕を追求する。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_02.png" ]
「プラグマへの疑いを、わたしたちがプラグマへ調査に向かったことを知っているのはラリーだけ。もし知らなかったとしても、わたしたちとラリーとの付き合いを知らないフリークスは少ない以上、異端派はラリーから何もかもを聞き出したいと考える」[sl]
「不用意に動かない方がいい。僕たちの動きを、異端派はマークしているはずだ」[sl]
事実/僕は耐えがたい。[pg]
[ char_all_clear ]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_03.png" ]
「その臆病が命取りになることだってある。今がそう」[sl]
「考えがあるのか? 僕たちが考えなしに動いたところで闇雲に状況をかき回す程度でおしまいだ。ラリーだったら僕の混乱を叱るだろうね」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_05.png" ]
「ヤオはラリーのことが心配じゃないの?」[pg]
[ char_all_clear ]
「僕が考え、クルスが動く。ずっとそうだった」[sl]
僕はクルスを見据える。[sl]
「もし今までのやり方を変えるのであれば、クルスの考えで僕を説得すればいい。僕たちは二人でなければ動くことができない。意見が割れることは絶対に許せない」[sl][r]
言葉も、クルスから思考も届かない。[sl]
ただただ、視線のみがぶつかりあう。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_04.png" ]
「喧嘩したい訳ではないの」[sl]
折れる/クルスは深く息を吐く。[sl][r]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_03.png" ]
「けれど、のろまなヤオの腰の重さは、きっとどこかでわたしたちをしくじらせる。その前に迅速さがほしいところね」[sl]
教会特区からのメッセージ/一方的な調査終了命令。[sl][r]
[ char_all_clear ]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]餌でつればいいと思っているらしい。[ resetfont ][sl]
クルスの思考を察することができない。情報の転送。視界の端に数が並んだ。最後に単位。[pg]
「口止め料か」[sl][r]
振りこまれた額は、契約した報酬額の倍額以上だった。[sl]
上乗せされた金額が意味するものは明瞭だった。口を閉ざすことへの報酬だ。プラグマ崩壊の理由を知っているのは僕たちとラリーだけだ。たった三人が沈黙することで、教会特区の公式見解は意味を持ち、プラグマは徹底的な悪役と認定される。[pg]
僕たちはいい。仕事は仕事だ。報酬額が予想を上回るなら文句をつけることはない。[sl][r]
けれど、ラリーはどうだ。[sl]
僕たちは報酬を押しつけられてお役ご免となり、ラリーが行方をくらましている現状は。[sl]
何が僕たちとラリーを分けたのか。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「どちらでもよかったはず」[sl]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]言説には証拠を求められる。[ resetfont ][sl]
クルスの思考にうなずいた。[sl][r]
[ char_all_clear ]
マスマティカの公式見解は、プラグマ壊滅という事実を根拠としている。根拠の根拠が求められることだってあり得る。神を信じながら、奇跡を信じない/現実の証拠を求める信徒たちが必ずいる。誰がプラグマに乗りこんだのか/説得材料/生き証人となる僕たちが登場する。上層部の信徒にとって、ゾンビー調査は公然の秘密/マスマティカは教会特区の信徒たちを僕たちを持ち出すことで説得した。[pg]
マスマティカにとって、説得材料は僕たちだけで十分だ。逆に、数が多いのは問題となる。古典的な秘密を守るためのルール/つぐむ口は少ないほどいい。[pg]
「新聞だって無駄じゃない」[sl]
広げたままの紙面を反転、クルスに向ける。[sl]
記事/街頭インタビューによってかき集められた世論が並んでいた。[sl][r]
「外在魂への風当たりなんて、昔から酷いものだった」[sl]
クルスは『ハッシューハッシュ』に眼を落としたまま、顔を歪ませる。[sl]
世論/フリークスたちのいくらかが教会特区から遠ざかった/フリークスたちのいくらかが外在魂を捨て、教会特区に帰依した。[pg]
誰も、何も知らない。[sl]
展開のすべてはマスマティカの望むように進んでいた。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「マスマティカはこのルーデシアを支配するつもり?」[sl]
「一つへ収斂しようとする思想が、何もかも侵略して回った類例は数え切れない」[sl][r]
[ char_all_clear ]
紙面/ルピシアの社説を読む。[sl]
示唆/ゾンビーの発生により、教会特区は外在魂の、ひいてはフリークスたちの排斥運動に乗り出す可能性を書き連ねていた。[pg]
「けれど、僕たちだって何もかも知っている訳ではない」[sl][r]
僕たち以上に事件の中に身を置いているフリークスはいない。[sl]
けれど、依然としてゾンビーの発生原因はわからない。[sl]
異端派の姿は輪郭ですら捉えることができないでいる。[pg]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_02.png" ]
「コレを書いた雌牛はどうしている?」[sl]
「この号を最後に、発行が止まっている」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「それって」[sl]
「連絡はあるんだ。ただ、あちこち動いて回っているから忙しいんだ」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_03.png" ]
「ふん、事実に群がる家畜からすれば最高の餌でしょうね」[sl]
クルスはルピシアを軽蔑する/混乱を向ける対象を見つけたからそうした、程度のものだった。[pg]
[ char_all_clear ]
[ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]どうするつもりだ、ええ?[ resetfont ][sl]
クルスが漠然と問う。[pg]
けれど、彼女の実感こそがすべてだった。[sl]
僕たちは事件から放り出された。報酬を手に入れ、しばらくは仕事をする必要から解放された。問題はない。[pg]
けれど、ラリーだ。[sl]
僕は首を振った。[sl]
どうすればいいのか、考える時間が必要だ。[pg]
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