Lud s42.ks

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*up
; ■ lud_scene42.txt ヤオとリリクス
;----- シーン42 - カット01 - ヤオのアルバイト/リリクス


*start| 現在
[ position layer=message0 page=back frame="" opacity=0]
[ mes_blind time="50" ]
[bg_hyojib bgb="lud_in_s42_c01.png"]
[cross_kirikae ms="1000"]
[ wait time="2000" ]
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[ wait time="1000" ]
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[ mes_appear time="50" ]

[bg_hyojib bgb="lud_bg_s01_c01_02.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]

[ bgm bgm="ludesia_bgm_14_Lyrics_scene01_cut01.ogg" lp="true" ]
「[ ch text="――" ]それで、すべて?」[sl][r]

 棺の中の首/教会特区の聖女リリクスは、すべてを語り終えた僕に、問いかける。[pg]


[ cut_in img="lud_cu_s01_c01_02.png" time="500"]
「ああ、僕はすべてを話したと思う」[sl]
 うなずくと、リリクスもまた満足そうにうなずきかえす。[sl]
 けれど、生体溶液に浮かぶ首だけのリリクスだから、水中でわずかに浮き沈みしたようにしか見えない。[pg]


[ cut_in_clear time="200"]
「待って、ヤオは一つ忘れている」[sl]
「大筋でリリクスの知らないことはないはずだ」[sl]
「ノエシスにノエマは? マスマティカは貴方の愛する仲間たちを襲ったのでしょう? 彼らは、彼女たちはどうなってしまったの?」[pg]


「そうだった」[sl]
 僕はすべてを話したのだと信じた。[pg]


「大切ではないけれど、話を締めくくるにはちょうどいい」[sl]
 まだ十分ではない。[pg]
[ fadeoutbgm time="2000" ][wb]

[bg_hyojib bgb="bg_black.png"]
[cross_kirikae ms="1500"]

[ wait time="2000" ]

[bg_hyojib bgb="lud_bg_s39_c01_01.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]

[ bgm bgm="ludesia_bgm_14_Lyrics_scene01_cut01.ogg" lp="true" ]
「おわった」[sl][r]
[ se se="ludesia_se_fx_lyrice.ogg" lp="false" ]
 役目を終えた/僕の[ ruby text="    パイルバンカ" ]杭打ちが、クルスのチェインガンが形を失い、[ ruby text="      リヴァイアサン" ]総体の蛇の一部へと溶けて消えた。[sl]
 どれだけの時間、僕たちは動かなくなったリリクスを見下ろしていたのか。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_noema_01.png" ]
「おさらばの時だろうね」[sl]
 ノエマの制圧姫が身体の一部に溶けこむ。[sl]
 退屈という訳ではない/けれどいつまでもたたずんでいる意味もない/ノエシスは僕たちから背を向ける。[pg]


[ char_all_clear ]
「どこへ」[sl]
「お前たちが言い出したことだ」/「もう忘れちまったのかい?」[sl]
 ノエシスの横に並ぶノエマも、僕たちを振り返ることはない。[sl][r]

「辺獄を経て」/「天堂に至るのさ」[sl]
「また、どこかで」[sl]
 別れ/僕は同じ場所で生まれた姉弟へ頭を下げる。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_noesis_01.png" ]
「そのときこそ僕たちが貴方を乗り越えるときだ」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_noesis_01.png" tatie2="lud_st_noema_02.png" ]
「人間として、あんたたちの上に立ってやるよ」[sl][r]


[ char_all_clear ]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_07.png" ]
「楽しみにしています」[sl]
 クルスが口元だけで微笑んだ。[sl][r]

[ char_c tatie="lud_st_ludesia_02.png" ]
「貴方たちの進化、ルーデシアも楽しみ」[sl]

 ほんの一瞬、ノエシス/ノエマの動きが止まりかけて。[pg]

[ char_all_clear ]
[ fadeoutbgm time="2000" ]
「さようなら」/「さようなら」[sl]
 二人は、立ち止まらなかった。[pg]
[wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_29_oldtale.ogg" lp="true" ]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_01.png" ]
「ヤオはまた二人と出会うこと思う?」[sl]
 開いたままの扉/二人の消えた入り口を見つめて、ルーデシアが問うてくる。[sl][r]

[ char_all_clear ]
「ルーデシアが生み出したものに、できないことがあるの?」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_02.png" ]
「そっか」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_cruth_01.png" ]
「互いに狩りのない次こそ、わたしたちの優劣を決定するでしょう[ ch text="――" ]」[sl]
 クルスの語尾が途切れて。[pg]


[ char_all_clear ]
「[ ch text="――" ]とても、疲れました」[sl]
[ qk time="100" ]
 とっさに抱きとめる/肉体と魂を極限まで酷使されたクルスの身体には、力が入っていない。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_ludesia_01.png" ]
「生体チップ、負荷がひどいみたいだね」[sl]
「クルスは一人で教会特区に突っこんで、戦った」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_02.png" ]
「でも心配しないで、今回のデータをもとに改良をすれば、副作用はなくせると思う」[pg]


[ char_all_clear ]
「必要ない」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_03.png" ]
「んん?」[sl]
 僕の断言に、ルーデシアが眼を大きくする。[sl][r]

[ char_all_clear ]
「もう、生体チップが必要な場面は二度とない」[sl]
「ふぅん」[sl]
 気のない風にルーデシアはうなずく。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_ludesia_02.png" ]
「そっかぁ」[sl]
 けれど、僕の娘は嬉しそうに微笑んでいた。[pg]


[ char_all_clear ]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s38_c01_01.png"]
[bg_kirikae]
 僕はクルスに肩を貸し、聖堂をあとにする。[sl]
 くたびれ果てた僕たちにとって、廊下を歩くことすら苦行に思える。[sl][r]

 [ font color="0xFF0066" bold="true" italic="true" ]帰る場所がある。[ resetfont ][sl]
 一緒に帰る人がいる。[sl]
 だから、悪くはない。[pg]

[ fadeoutbgm time="2000" ]
 第二聖堂/扉の向こうは静かだ。[sl][r]
[wb]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s37_c01_01.png"]
[cross_kirikae ms="1000"]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_25_cybernetics.ogg" lp="true" ]
「貴君らを待ちくたびれたぞ」[sl]
「おぉ? クルスがいるぅ?」[sl][r]

 僕たちを待っていたものが、のんびりと笑いかけてくる。[pg]


 [ font bold="true" italic="true" ]ふむ。どうやらヤオとクルスの問題は解決したと見受けられるようだが、私はすでに降伏したのでね、手荒なことは控えてもらえると助かるのだがね[ resetfont ][pg]


 唯一切り飛ばされなかったアーム/その先に取り付けられた最終兵器/大破した機体に腰を下ろしたヒナギクとキリィの側で、プラガロンは白旗を紳士的に揺らしていた。[sl]
 ヒナギクとキリィの戦果/打ち砕かれ、切り裂かれたアームがいたる場所に散らばっていた。[pg]


[ cut_in img="lud_cu_s15_c02_11a.png" time="200"]
『静かになったせいで、ゲルトルードの声がよく聞こえるわ。さあ、もっと熱い睦言を聞かせてちょうだい!』[sl]
[ cut_in img="lud_cu_s15_c02_11b.png" time="200"]
『ああ、クオレティアお姉様ったらこんなになるまで興奮してしまって! わたしの情欲にまた火をつけるおつもりですのね!』[sl][r]

[ cut_in_clear time="200"]
 ロザリン姉妹/相変わらずなものは相変わらず/これ以上の表現を僕は諦める。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_hina_01.png" ]
「いい顔をしている。姉弟子の私も鼻が高い」[sl]
「少しは、マシになれたのかもしれない」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_hina_03.png" ]
「うむ。次はこの程度のからくり仕掛けなど、貴君らでどうにかするがいい」[sl][r]

[ char_all_clear ]
 [ font bold="true" italic="true" ]いや、私の身体をここまでした君たちと争うつもりはないな[ resetfont ][pg]


[ char_c tatie="lud_st_kirie_01.png" ]
「クルス、ご本、ご本んんん」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_kirie_01.png" tatie2="lud_st_cruth_04.png" ]
「……帰って、一眠りしてからではだめ?」[sl]
[ char_l tatie="lud_st_kirie_03.png" ]
「いやなのだぁ?」[sl][r]

[ char_all_clear ]
 そういえば。[pg]


「き……、貴様……、教会特区の教父たる私をこのような仕打ち、ただで済むと思っているのか」[sl]
「すっかり忘れていた」[sl][r]

 教会特区の指導者/マスマティカが這いつくばったまま僕たちをにらみつける。[pg]


「追い詰めてやる。子供たちは神に召されたが、私にはいくらでも兵士に身を投じる子供たちがいる。次は、次はリリクスのような死から蘇った、神が生み出した悪魔がお前たち神なき者たちを」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_hina_04.png" ]
「黙れ」[sl]
[ char_all_clear ]
[ qk time="100" ]
 ヒナギクの足がひらめく/マスマティカの尻に突き刺さった刀を蹴飛ばす。[sl][r]

「うおおおおおおおおおおおおお!?」[sl]
 マスマティカが転がる/のたうつ/信徒たちのひれ伏していた教父の姿はどこにもない。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_lupisia_02.png" ]
「おほほほほほ! スクープですわ! 閉鎖施設始まって以来の特ダネ! 天国のおじいさま、わたくしのジャーナリズムを見ていらっしゃいますの!」[sl]
[ char_all_clear ]
[bg_hyojib bgb="bg_white.png"]
[cross_kirikae ms="50"]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s37_c01_01.png"]
[cross_kirikae ms="50"]
[bg_hyojib bgb="bg_white.png"]
[cross_kirikae ms="50"]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s37_c01_01.png"]
[cross_kirikae ms="50"]
 とどまることを知らない歓喜/ひっきりなしのカメラのフラッシュ/ルピシアは躁状態をぶっちぎった喜びぶりで、マスマティカの周囲でシャッタを切る。[sl][r]


[ char_c tatie="lud_st_lupisia_02.png" ]
「ペンは剣より強しですわ!」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_02.png" ]
「あぁらルピシアちゃん、何枚かデータをくださると嬉しいわぁ。わたしもこいつの恥部を来来に触れ回りたいのよぅ」[sl]
[ char_all_clear ]
 コザクラ/小刻みにマスマティカの尻を蹴飛ばす/マスマティカの悲鳴が楽器めいたリズムで響く。[pg]


「なんとかは、なったかな」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_ludesia_03.png" ]
「ヤオ、ルーデシアは眠いわ」[sl]
「もう少し我慢して。僕もルーデシアをおぶるだけの体力は[ ch text="――" ]」[pg]


[ char_all_clear ]
[ fadeoutbgm time="2000" ]
「[ ch text="――" ]ラリー」[sl]
 クルスの言葉は、全員を黙らせた。[pg]
[wb]

[ char_c tatie="lud_st_cruth_06.png" ]
「ラリー!」[sl]
[ char_all_clear ]
 残されていないはずの力/けれど扉の向こうへと引き返すクルスに、事実など帳消しになっていた。[sl][r]

[bg_hyojib bgb="lud_bg_s38_c01_01.png"]
[bg_kirikae]
「クルス!」[sl]
 僕たちは後を追いかける/途中でコザクラとルピシアがあとで追いつくとリタイアする。[sl]
 リリクスのいた第四聖堂の扉の前を横切り、第三聖堂へ。[pg]


「ラリー! ラリー!」[sl]
 第三聖堂/クルスの速度が目に見えて鈍る/僕たちが追いつく。[sl][r]


「ラリー!」[sl]
[ se se="ludesia_se_opendoor.ogg" lp="false" ]
 扉を開く。[pg]
[ws]
[bg_hyojib bgb="lud_bg_s35_c01_01.png"]
[cross_kirikae ms="500"]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_26_ludesia.ogg" lp="true" ]
「そんな」[sl][r]

 クルスの意思が、僕の口からこぼれだす。[sl]
 聖堂前に広がった空間/マスマティカにとっての最終防衛ライン/戦場そのものと化した場所は、十を超えるリッチーの死体で埋め尽くされていて。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_hina_03.png" ]
「よくぞ、討ち果たした」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_kirie_04.png" ]
「もう、うごかないのだぁ?」[sl][r]

[ char_all_clear ]
 両腕と、両足を大きく広げ。[sl]
 押し通ろうとする一切の前に立ちふさがるように。[pg]


「こんなの、ありえませんわ」[sl]
 ラリー・フォールの死が、僕たちの前にあった。[pg]


「超一流だって、死なないって」[sl]
 膝が折れる/真実、クルスの中にあった一切が欠け落ちる。[sl][r]

「ラリーが死ぬ訳ないって、信じていたのに」[sl]
「ごめんなさい、わたしのわがままで、こんな、こんな」[sl][r]

 跪いたクルスがラリーの顔を覆うようにしてしがみつく。[sl]
 かける言葉がない/目配せ、ヒナギクとコザクラ姉妹がかすかにうなずく。[pg]


 どうしてラリーがここにいるのか/死んでいるのか。[sl]
 クルスにしかわからない理由/僕はただ、クルスがラリーの死を受け入れるまで待ち続ける。[pg]


「許してとは言いません。けれど、せめて、許しを乞うことだけは」[sl]
[ fadeoutbgm time="2000" ]
 抑えようとして、抑えきれないものがクルスから溢れ出そうとする。[pg]
[wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_27_fine.ogg" lp="true" ]
「おいおいジュリア、いつからこんな平べったい胸になっちまったんだ」[sl]
 皺の寄った、大きな手かがクルスの胸をわしづかみにする。[sl][r]

「顔が痛い。鉄板でも押しつけているのか? どうせ天国ならもうちょいでかいのを押しつけてくれや」[sl]
 老兵の手が動く/クルスの胸をもむ。[sl]
 クルス、僕たち/言葉がない/別の意味で。[pg]


「ああ……」[sl]
 クルスが涙で濡れた顔を上げる。[pg]


「よう、お嬢ちゃん[ ch text="――" ]」[sl]
 ダンディズムの証明/老人はにやりとしてみせると。[pg]

[ fadeoutbgm time="2000" ]
「[ ch text="――" ]下劣!」[sl]
[ se se="ludesia_se_kick_02.ogg" lp="false" ]
[ qk time="400" ]
 全体重を乗せた拳を、ラリーの顔にたたき落とした。[sl][r]
[wb]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_op_inst.ogg" lp="false" ]
[ qk time="200" ]
「うおおおおおおおおおおおおお!?」[sl]
 ラリーが転げ回る/マスマティカそっくりの姿がどうしようもなく情けない。[pg]


「馬鹿! どうして生き返った!」[sl]
[ qk time="200" ]
 殴る/殴る/殴る/クルスの拳には一切の遠慮がない。[sl][r]

[ char_c tatie="lud_st_lalie_01.png" ]
「そりやあないだろう、って、ここは天国じゃないのか?」[sl]
[ char_all_clear ]
「馬鹿」[sl][r]
 振り上げられた手が、ラリーの首に回された。[pg]


「死んじゃったかと思った」[sl]
 しがみつくクルスに、ラリーは寝起きめいた気怠い顔で、背中を叩いてやる。[sl][r]

[ char_c tatie="lud_st_lalie_01.png" ]
「悪かった。だが、言っただろう?」[sl]
「うん」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_lalie_02.png" ]
「俺みたいな超一流が、死ぬ訳ない」[sl]
[ char_all_clear ]
「うん」[sl]
 ラリーの肩に顔を埋めたまま、クルスは動かない。[sl]
 老人がちょっと僕に目配せをする/目の前で宝物を奪ったものが向ける、勝者の笑いがあった。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_kozakura_03.png" ]
「でも……、どうして生きてるのよぅ」[sl]
 問いを発したのはコザクラだった。[sl][r]


[ char_c tatie="lud_st_hina_02.png" ]
「[ ruby text="ラウンダ" ]犬は全員死に、ラリーだってやられたはずだ。どうして生きている」[sl]
[ char_c tatie="lud_st_lalie_05.png" ]
「そいつに関しては、俺も同意だ。なんで生きてるのかさっぱりわからん」[pg]


[ char_all_clear ]
 ラリーは自分の身体を見下ろす。[sl][r]

 銃弾で裂けたスーツ/むき出しの生体素材と複合機械からなる身体は穴が空き、疑似血液はすべて傷口から流れていた。[sl]
 右足はちぎれ、左腕は筋繊維を制御するケーブル一本でぶらさがっていた。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_lalie_05.png" ]
「俺は死んでいなくちゃならん。それが理のもとに生きるフリークスのはずだ」[sl]
 ラリーの眼が一点で止まる/消しようもない老いが滲み出す。[sl][r]

[ char_all_clear ]
「ジュリアまで死んじまい、この爺だけがどうしてか生き残った。本当は、年寄りからくたばるのが古臭いとは言え、正しい姿だってのに」[sl]
「偶然、致命傷を避けることができた……、って傷でもないな」[sl][r]

[ char_c tatie="lud_st_hina_03.png" ]
「すぐ手当をすべきであろう」[sl]
 実際的/ヒナギクの提案に反対する理由はない。[pg]


[ char_all_clear ]
 僕はラリーの身体を背負おうと、側に横たわるジュリアの身体を少しだけずらす。[pg]


 きゅーん、という鳴き声。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_kirie_01.png" ]
「おおぅ?」[sl]
 もぞ、とジュリアの身体がうごめいた。[sl][r]

[ char_all_clear ]
 僕のリヴァイアサンが、魂の活動を検知する。[sl]
 きゅーん、という小さい、それでいて確かな生命なる意思を伝える声がする。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_lalie_01.png" ]
「ジュリア、やりやがった」[sl]
 ジュリアの身体の下から、眼も開いていない子犬が這い出した。[pg]


[ char_all_clear ]
「俺の魂を、ジュリアの子供に退避したか」[sl][r]

 母から子供へ、魂は[ ruby text="  ラウンド" ]循環する。[sl]
 きっと死ぬ前の最後の力/ジュリアはラリーの魂を託して子を産み、命を落とした。[sl][r]

 今にも倒れてしまいそうな足取りで、子犬はあぐらをかいたラリーの膝にすり寄る。[sl]
 弱々しい、それでも魂は息づいて、ラリーを生かしている。[pg]


「これは、もうしばらく死ぬ訳にはいかんらしい」[sl]
 ラリーは子犬を抱き上げ、クルスの横顔にもってゆく。[pg]


「あ……」[sl][r]

 血の色/命の色そのものである、赤い舌がクルスの頬を舐めた。[sl][r]

 クルスの肩から力が抜ける。[sl]
 パートナーは僕たちを振り仰いだ。[pg]


[ char_c tatie="lud_st_lalie_01.png" ]
[ wait time="100" ]
[ char_c tatie="lud_st_hina_01.png" ]
[ wait time="100" ]
[ char_c tatie="lud_st_kozakura_01.png" ]
[ wait time="100" ]
[ char_c tatie="lud_st_kirie_02.png" ]
[ wait time="100" ]
[ char_c tatie="lud_st_lupisia_01.png" ]
[ wait time="100" ]
 ひどい傷だらけで、まともな身体をした人間なんかほとんどいない。[sl]
[ char_all_clear ]
 それでも、それでも[ ch text="――" ][sl]
 まともな魂だって、持ち合わせていない。[pg]


[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_cruth_01.png" tatie2="lud_st_ludesia_01.png" ]
「[ ch text="――" ]僕たちには、魂がある」[sl]
[ char_all_clear ]
[ char_double tatie1="lud_st_cruth_07.png" tatie2="lud_st_ludesia_02.png" ]
 僕たちは、どうにか生きている。[pg]

[ char_all_clear ]
[ fadeoutbgm time="2000" ]
[bg_hyojib bgb="bg_black.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]
[wb]

[bg_hyojib bgb="lud_bg_s01_c01_02.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]
[ bgm bgm="ludesia_bgm_14_Lyrics_scene01_cut01.ogg" lp="true" ]
[ mes_blind time="200" ]
[ cut_in img="lud_cu_s01_c01_01.png" time="500"]
[ mes_appear time="200" ]
「まだまだ前夜だ。流れ入る生気とまことの温情とは、すべて受けよう。暁が来たら俺たちは、燃え上がる[ ruby text="  にんにく" ]忍辱の鎧を着て、光りかがやく街々へ入ろう[ ch text="――" ]」[sl]
 すべてを語り終えた/僕はまた紙面を眼で辿り、朗読を再開する。[pg]


「確か、あと少しで読み終えてしまう気がしたわ」[sl]
「[ ch text="――" ]俺は下の方に女どもの地獄を見た、[ ch text="――" ]さて、俺には、魂の[ ruby text="うち" ]裡にも肉体の裡にも、真実を所有することが許されよう」[sl][r]

[ cut_in_clear time="200"]
 僕は薄い文庫を閉じた。[sl]
 真実を所有することが[ ch text="――" ][pg]


「ルーデシアはこの事件に、どこまでからんでいた?」[sl]
 [ ch text="――" ]許されるのか。[pg]


「私に関わることであれば、全部」[sl][r]

「リリクス、貴女はことあるごとに僕の前に現れ、教会特区を印象づけた。なぜだ?」[sl]
「ルーデシアに頼まれたから」[sl][r]

「ルーデシアであれば、僕には思いつかない方法で貴女と連絡をとったのかもしれない。けれど、理由がわからない。なぜだ?」[sl]
「ヤオはそればかりね。いつもルーデシアやクルスを退屈させてしまうことはない?」[pg]


「聞かせてくれ」[sl]
 痛いところだった/僕は話を引き戻す。[sl][r]

「私がネクロフィリアだって、ゾンビーのなれの果てだって、言いふらすと脅されたから」[sl]
 ルーデシア/その罪の告白に言葉が詰まる。[pg]


[ cut_in img="lud_cu_s01_c01_02.png" time="300"]
「従ったのか」[sl]
「何もかもが上手くいっていたときは、私は子供たちを愛して、愛されていた、満たされた毎日だったの。それがゴミみたいに死んで、生き返ることができたあとであれば、なおさらだった。失いたくないと思うのは、当然じゃないかしら?」[sl][r]

「命令に従い、マスマティカを動かしたのか」[sl]
「ええ、マスマティカは餌を与えてやったら、あっけなさすぎるくらいに単純だった」[pg]


[ cut_in_clear time="200"]
「餌とは」[sl]
「ゾンビー」[sl]
 返ってきた答え/僕の推測は完全に的外れだった。[pg]


「ゾンビーは、ルーデシアが与えた?」[sl]
「他に誰が与えることができたというの?」[sl]
「ノエシスとノエマを解析することで、内在魂の研究が始まったんじゃなかったのか」[sl]
「ねえ、もう少しだけ考えて。解析したとヤオは言ったよね」[sl]
 うなずいた。[pg]


「教義上、魂の改造を禁じ、技術を遠ざけていた教会特区のどこに、ノエシスとノエマを解析できるだけの技術を持った人間がいるというの?」[sl][r]

「ああ[ ch text="――" ]」[sl]
「[ ch text="――" ]わかりやすくかみ砕かれた、懇切丁寧なデータと指示を与えればいい。まぁ、それでもマスマティカは実験に失敗して、ゾンビーを溢れさせてしまったのだけれど。あるいは失敗するように仕向けたのかもしれない」[sl][r]

 リリクスを脅した/マスマティカを操った/不完全な内在魂の技術を与えた。[sl]
 ルーデシアは、すべてに関わっていた。[pg]


「きっと、少なくとも三年前からルーデシアはこの展開になるよう、少なくとも準備はしていたと思う」[sl]
 リリクスの微笑みを、僕は直視できない。[sl]
 顔を背け、深く吐息した。[pg]


「ヤオ、聞いてもいい?」[sl]
 ごぼ、と棺の中で気泡が立ち上った。[sl][r]

「どうして、ルーデシアを疑ったの?」[sl]
「ルーデシア以外に利益を得た人間がいないんだ」[sl][r]

「ヤオだって、かつての力を取り戻したのでしょう? きちんと利益を得ている」[sl]
「僕にとっては偶然の結果だが、ルーデシアからすれば、狙って実現した結果だ」[pg]


「今まで話したことは、私の推測だよ」[sl]
「僕は貴女の推測に真実を感じる。ルーデシアは僕たちのやったこと、やろうとしたことすべてを握っている。ことあるごとに僕は相談を持ちかけた。プラグマにルーデシアが自分から調べにゆくなんて、らしくないこともあった」[sl][r]

「らしくない?」[sl]
「誘導された、そうとしか思えない」[pg]


「不満なの?」[sl]
「僕はただ、考えたことを話している」[sl]
「確かめる方法はあるでしょう?」[sl]
 うなずいて、僕は席を立つ。[pg]


「もう帰ってしまうの?」[sl]
「とっくに時間を過ぎてしまっている。それに、人を待たせている」[sl]
「あら、だとすれば引き留めてはいけないわね」[sl][r]

 棺の中から、少女の笑みが僕を見上げる。[sl]
 僕はリリクスに背を向ける。[pg]


「なんだかもう、ヤオはここへ来ない気がする」[sl]
 僕は答えない。[pg]


「さようなら、愛しているわ」[pg]
[ fadeoutbgm time="2000" ]
[bg_hyojib bgb="bg_black.png"]
[cross_kirikae ms="2000"]
[wb]

[ jump storage="lud_s43.ks"]

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