Sp550 哲雄を訪ねる蓉司.nss

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//<continuation number="440">
#include "nss/function.nss"

chapter main
{
	$基幹名 = ModuleFileName();

	SetDebug();
	call_scene @->mainscene;
	Reset();
}

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
scene mainscene
{
	$構成名 = ModuleFileName();
	$スクリプトバージョン = " $Revision: 12 $";
	Init();

	//■既読チェック
	$フル構成名 = "nss/" + $構成名;
	$構文名 = "maincut";
	$AllRead = Conquest($フル構成名,$構文名,null);
	
	//■超速設定
	ChkSkip();
	if($超速スキップ != "あり"){
		call_cut $構文名;
	}

	//◆イベント絵変数◆//cgライブラリ用
	#ev5501_哲雄_食卓=true;
	#bg030100_2_哲雄宅_外観=true;

	EndScene();
}
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

//sp550_哲雄を訪ねる蓉司.nss

cut maincut
{
	//$構文名 = $SYSTEM_present_process;
	SetTextWindow();

	//-----

	CreateBlack("黒通常板",1000);
	CreateTxNum(11);

	CreateSE("SEL01","se乗物_電車_走行");
	SEPlay("SEL01",1500,1000,true);

//BGM_@bk01_on
//	BGMStart("@bk01",1500,1000,0,1000,null,true);
	BGMStart("@bk01",1000,1000,0,1000,null,true);

//bg110100_2_電車_電車内.jpg
	CreateTexture("背景65",65, 0,0, "cg/bg/bg110100_2_電車_電車内.jpg");
	TransOut("黒通常板",1500,500,"blind_01_00_0.png",true);

//※SE:乗物_電車_走行

//――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<PRE box00>
[text010]
 放課後、蓉司は哲雄の家へ向かうために電車に揺られていた。

 と言っても乗っているのはいつもと同じ電車だった。哲雄が自宅の最寄り駅の1つ先に住んでいることを初めて知った。

 吊り革に掴まって振動に身を任せつつ、窓の外に広がる風景を眺めた。

 灰色の空は曖昧に曇っていて、夕日もうっすらとした輪郭しか見えない。

 これから、哲雄の家に行く。<k>
 正直、学校外での哲雄というものには少し興味があった。

 会いたくないのは山々だが、普段は知ることのない部分を垣間見ることができるかもしれない。<k>そう思うと、純粋な興味が湧いた。


 電車が最寄り駅のホームに滑りこむ。<k>普段は何の疑いもなくここで降りるので、妙な感じがした。

 再び電車が走り出して、いよいよ緊張が高まってきた。<k>隣の駅に着くまでの数分が長く感じられて、知らぬ間に通過したのではないかと不安になった。

//※SE:乗物_電車_扉_開
{
	SetVolume("SEL01", 6000, 0, null);
	SetFrequency("SEL01", 6000, 0, DxlAuto);

	CreateSE("SE01","se乗物_電車_扉_開");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);

}
 隣駅のアナウンスとともに電車が停まり、乗客がホームへ降りていく。

 蓉司もその中に交じって電車を降りた。

</PRE>
	SetText();
	TypeBegin(0);//―――――――――――――――――――――――――――

	SetVolume("SE*", 1000, 0, null);

//bg100100_2_空.jpg
	CreateTexture("背景64",64, 0,0, "cg/bg/bg100100_2_空.jpg");
	TransOut("背景65",1000,1000,"slide_03_00_0.png",false);

//――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<PRE box00>
[text020]
 同じ沿線上にある駅前は大体似たり寄ったりな光景が広がっている。

 改札を出ると、蓉司はプリントアウトされた地図を頼りに歩き出した。

</PRE>
	SetText();
	TypeBegin(0);//―――――――――――――――――――――――――――


//bg030100_2_哲雄宅_外観.jpg
	CreateTexture("背景63",63, 0,0, "cg/bg/bg030100_2_哲雄宅_外観.jpg");
	TransOut("背景64",1000,1000,"slide_03_00_0.png",false);

//――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<PRE box00>
[text030]
 哲雄の家は、駅から10分ほど歩いた住宅街の奥まった場所にあった。

 月日の重みを感じさせる一戸建ての日本家屋。平屋で2階はないが奥行きがあった。

 玄関のインターフォンの横には「城沼」と書かれた表札が掛かっている。

 ここに哲雄が住んでいるのだ。

{
	CreateSE("SE01","se人体_心音");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 急に気分が高揚してきて、ゆっくりと深呼吸をした。

{
	CreateSE("SE02","se日常_家_哲雄_インターフォン");
	SEPlay("SE02",0,1000,false);
}
 それから、インターフォンを押した。

{
	$残時間=RemainTime("SE02");
	WaitKey($残時間);
}
//※VO:インターフォン越し
//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000010tm">
「はい」

 スピーカーから優しそうな女性の声が響いた。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000020yo">
「あの……崎山って言います。同じクラスの」

 言葉が喉に引っ掛かって、滑らかに出てこない。

//※VO:インターフォン越し
//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000030tm">
「あら」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000040yo">
「宿題のプリントを……上屋先生に、頼まれて」

//※VO:インターフォン越し
//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000050tm">
「ちょっと待っててね」

//※SE:日常_家_哲雄_玄関_開く
{
	CreateSE("SE01","se日常_家_哲雄_玄関_開く");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 スピーカーからぶつりと音がして、すぐに玄関の扉が開いた。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000060tm">
「こんばんは。あらあら、どうも。哲雄の母です」

 現れたのは、声の通りに柔和な雰囲気を纏った初老の女性だった。<k>見ている方がほっとするような微笑みを浮かべている。

 だが、母親にしては随分と歳を取っているように見える。<k>
 祖母と言っても通じる容貌だ。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000070tm">
「わざわざごめんなさいね。ありがとう」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000080yo">
「いえ……。これを」

{
	CreateSE("SE01","se日常_紙_めくる");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 預かってきたプリントをカバンから取り出すと、母親は笑みを深めた。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000090tm">
「せっかくだから、上がっていってくださいな。ちょうどお夕飯の支度をしていたところなのよ」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000100yo">
「いえ、でも……」

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000110tm">
「わざわざ届けに来てくれたのに、このまま返してしまうのは申し訳ないわ。ね? ぜひ上がってちょうだい」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000120yo">
「…………」

 家に上がるつもりなどなかったのだが、好意を<RUBY text="むげ">無碍</RUBY>にすることもできない。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000130yo">
「それじゃ……、すみません」

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000140tm">
「ええ、遠慮せずにね。さ、どうぞ」

 母親が扉を大きく開けて、中へ入るように促す。

 ためらいながらも蓉司は足を踏み出した。

</PRE>
	SetText();
	TypeBegin(0);//―――――――――――――――――――――――――――

//bg030200_2_哲雄宅_廊下.jpg
	CreateTexture("背景62",62, 0,0, "cg/bg/bg030200_2_哲雄宅_廊下.jpg");
	TransOut("背景63",1000,1000,"slide_03_00_0.png",false);

//――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<PRE box00>
[text040]
 家の中は外観と同じく、昔ながらの和風の内装だった。

 幼い頃に嗅いだことがあるような懐かしい匂いがする。

 玄関から上がった廊下は板張りで、奥へ続いていた。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000150tm">
「廊下をまっすぐに行って突き当たりが哲雄の部屋だから、どうぞ。お夕飯、すぐにできるから。待っててね」

 母親は笑顔で軽く会釈をして、居間へと消えていった。

 まだ戸惑ってはいたが、ここまで来てあとには引けない。蓉司は廊下を歩き出した。

 向かって左は庭に面しており、右は障子が並んでいる。

 遠い昔に尋ねた祖母の家を思い出しながら歩いていると、正面に扉が見えてきた。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000160yo">
「…………」

{
	SetVolume("@bk*", 2000, 0, null);

	CreateSE("SEL01","se人体_心音_ループ");
	SEPlay("SEL01",0,1000,true);
}
 部屋の前に立って、迷う。<k>
 家まで上がりこんで本当に良かったのだろうか。

 やはり、多少失礼になっても帰るべきだったのではないか。

 迷いに迷って立ち尽くした末、蓉司は覚悟を決めた。

{
	SetVolume("SEL01", 300, 0, null);
}
 暴走する心臓を感じながら、汗ばんだ右手をドアの前に翳す。



{
	CreateSE("SE01","se日常_家_哲雄_扉_ノック");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 1回、2回。


{
	CreateSE("SE01","se日常_家_哲雄_扉_開");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
//【哲雄】
<voice name="哲雄" class="哲雄" src="sp5/5000170te">
「…………」

 開いたドアから顔を覗かせた哲雄が、蓉司を見て動きを止めた。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000180yo">
「…………」

 蓉司はすぐに足元へ視線を落とした。<k>
 どこかに隠れてしまいたい。神経が張りつめすぎて今にも倒れそうだった。

{
	BGMStart("@bk10",2000,1000,0,1000,null,true);
}
//【哲雄】
<voice name="哲雄" class="哲雄" src="sp5/5000190te">
「……なんで」

 ぽつりと、哲雄が呟く。

{
	CreateSE("SE01","se日常_紙_めくる");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 耐えられなくなり、蓉司は俯いたままでカバンからプリントを取り出した。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000200yo">
「これ、上屋から」

//【哲雄】
<voice name="哲雄" class="哲雄" src="sp5/5000210te">
「…………」

 哲雄の視線がプリントへ移動する。<k>押しつけるように差し出すと、大きな手がプリントを受け取った。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000220yo">
「……それじゃ」

//【哲雄】
<voice name="哲雄" class="哲雄" src="sp5/5000230te">
「待てよ」

 立ち去ろうとしたところで呼び止められて肩が跳ねた。

//【哲雄】
<voice name="哲雄" class="哲雄" src="sp5/5000240te">
「中、入れば。夕飯食ってけとか言われたんだろ」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000250yo">
「…………」

 蓉司がここへ来るまでの経緯が読めたのだろう。<k>哲雄が部屋の中へ戻っていく。

 哲雄の言葉に従うのはなんとなく癪だったが、意地になって突っ立っているわけにもいかない。

 渋々、蓉司は部屋へ入ることにした。

</PRE>
	SetText();
	TypeBegin(0);//―――――――――――――――――――――――――――

//※SE:日常_家_哲雄_扉_閉
	CreateSE("SE01","se日常_家_哲雄_扉_閉");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);

//bg030300_2_哲雄宅_哲雄部屋.jpg
	CreateTexture("背景15",15, 0,0, "cg/bg/bg030300_2_哲雄宅_哲雄部屋.jpg");
	CreateStR(@0,@0,"st哲雄_タイなし_normal.png",false);
	TransOut("背景62",1000,1000,"slide_03_00_0.png",false);

//――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<PRE box00>
[text060]
 和室ということもあるのだろうが、室内は至って普通だった。<k>ベッドや机、棚などは黒で統一されていて、特に変わったところはない。

 普段は生活感を全く匂わせない哲雄なだけに、少し意外だった。<k>
 これが違う相手なら、そんな風には思わないのだろうけど。

 椅子に座った哲雄がプリントを机に置いて、ベッドを顎でしゃくった。

//【哲雄】
<voice name="哲雄" class="哲雄" src="sp5/5000260te">
「座れよ」

{
	CreateSE("SE01","se人体_動作_ベッド_座る");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 言われた通りに、蓉司は黒いカバーの掛かったベッドに浅く座った。

 体がぎくしゃくと強張ってロボットにでもなった気分だった。<k>
 指先1つ動かすのも迷うほど緊張している。

 哲雄はタイを外していたが、制服姿だった。<k>今朝、帰ってきてからそのままなのだろう。

 沈黙が肌に刺さるようで、蓉司は自分の膝へ視線を落とした。

//bg030310_2_哲雄宅_哲雄部屋天井.jpg
{
	CreateBlack("暗転",0);
	TransIn("暗転",1000,1000,"slide_04_00_0.png",false);

}
 何か話した方がいいだろうか。<k>
 いや、それよりも今日は目的があって来たはずだ。

 ……目的とは何だったか。緊張しすぎて頭の中が真っ白だ。<k>
 すぐに霧散する思考を必死で掻き集める。

 まず、プリントは渡した。

 あとは……そうだ。<k>自分について知っていることを聞き出す。

 そういえば、今朝のこともずっと気になっていた。<k>
 善弥を殴ったという話だが、理由は何だったのだろう。

 それから、他に哲雄に聞きたいことは――


{
	DeleteStR();
	Fade("暗転",0,0,null,true);
	CreateColor("黒地面", 65, 0, 0, 800, 600, "#000000");

	CreateMask("マスク",70, 0,0, "cg/data/slide_07_00_0.png",true);
	CreateTextureEX("マスク/EV20",70, -200,-20, "cg/ev/ev4701_哲雄_蓉司と前戯・雨~気持ちの変化M.jpg");

	Fade("マスク",0,0,null,true);
	CreateTxNumEX2(31);

	Fade("マスク",1000,1000,AxlAuto,false);

	FadeTx(1000,0,false);
	FadeTx2(1000,1000,false);

}
 ……あの、雨の日。<k>
 突然、頭に光景が浮かんだ。

 手が震えそうになり、膝の上で握り締めた。

 何故、自分にあんなことをしたのか。<k>
 聞きたい。<k>だが、聞けない。

 考えを纏めるだけのつもりだったのに、様々な出来事が浮かび上がってきた。

{
	FadeTx(1000,1000,false);
	FadeDeleteTx2(1000,0,false);
	FadeDelete("マスク",1000,false);
}
 ――駄目だ。<k>
 やはり帰ろう。

//bg030300_2_哲雄宅_哲雄部屋.jpg
//bu哲雄_制服_normal.png
{
	WaitPlay("マスク");

	Fade("暗転",0,1000,null,true);
	Delete("黒地面");
	Delete("背景*");

	CreateTexture("背景15",15, 0,0, "cg/bg/bg030300_2_哲雄宅_哲雄部屋.jpg");
	CreateBuL(@0,@0,"bu哲雄_タイなし_normal.png",false);

	TransOut("暗転",1000,1000,"slide_04_00_1.png",false);

}
 そう思って顔を上げると、哲雄と目が合った。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000270yo">
「…………」

//bg030310_2_哲雄宅_哲雄部屋天井.jpg
{
	CreateTextureEX("背景65",65, 0,0, "cg/bg/bg030310_2_哲雄宅_哲雄部屋天井.jpg");
	TransIn("背景65",400,1000,"slide_03_00_0.png",false);
}
 いたたまれなくなって目を逸らした。<k>
 相変わらず、冷淡な瞳からは何も読み取れない。

 今、哲雄はどういう気持ちでいるのだろうか。
 何もわからないまま、無言の時間を過ごすのはつらい。

 相手の心が読めないことがこんなにも苦しいとは思わなかった。

 ……帰ろう。

{
	SetVolume("@bk*", 3000, 0, null);

	CreateSE("SE01","se日常_家_哲雄_扉_ノック");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 立ち上がろうとした時、扉をノックする音が響いた。

//※VO:扉越し
//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000280tm">
「ご飯よ~」

{
	DeleteBuL();
	TransOut("背景65",1000,1000,"slide_03_00_0.png",false);

}
 先ほどの女性……哲雄の母親の声だ。<k>
 哲雄が立ち上がって扉の方へ向かう。

 まさか哲雄を押し退けて帰るわけにもいかない。<k>
 タイミングを逃してしまった。

 だが、おかげで張りつめていた空気が緩み、気分が少しだけ落ち着いた。

 まだ、もう少し大丈夫だ。
 小さく息を吐き出すと、蓉司は哲雄のあとに続いて部屋を出た。

</PRE>
	SetText();
	TypeBegin(1);//―――――――――――――――――――――――――――


	FadeTx(1000,0,false);

//ev5501_哲雄_食卓
	CreateTexture("EV10",10, -380,-532, "cg/ev/ev5501_哲雄_食卓L.jpg");
	TransOut("背景15",1000,1000,"slide_03_00_0.png",true);

//――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<PRE box00>
[text070]
//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000290tm">
「良かったらおかわりしてちょうだいね」

 居間に入ると、食卓には湯気を立てた惣菜や味噌汁が並べられていた。

{
	BGMStart("@bk08_ver2",1000,1000,0,1000,null,true);
}
 見た目から手作りの温かさが伝わる料理で、蓉司は密かに胸が熱くなった。

 蓉司も自炊はできるが、手の込んだものは作れない。<k>
 こんな料理を見るのは姉と住んでいた時以来だ。

 それに、この部屋は独特の空気で満たされている。<k>
 家族が集う場所ならではの空気だ。

 自分の部屋とは明らかに違った。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000300tm">
「そこ座ってちょうだい」

{
	CreateTextureEX("EV11",11, 0,-104, "cg/ev/ev5501_哲雄_食卓L.jpg");
	Move("EV11",3000, -60,@0, DxlAuto,false);
	TransIn("EV11",1000,1000,"slide_03_00_1.png",false);

}
 蓉司は小さく会釈して、勧められた席に座った。<k>哲雄が隣の席に座る。

 哲雄の母親は台所と居間を往復してせわしなく動いている。


{
	CreateTextureEX("EV12",12, -800,-270, "cg/ev/ev5501_哲雄_食卓L.jpg");
	Move("EV12",3000, -800,-220, DxlAuto,false);
	TransIn("EV12",1000,1000,"slide_03_00_1.png",false);

}
//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000310tm">
「今日はね、たまたま休みをもらってたのよ。うちは共働きだから、いつもはもっと遅くなるんだけど」


 ご飯をよそった茶碗を置きながら、哲雄の母親が楽しそうに話す。

 確かに食卓に置かれているのは蓉司と哲雄、2人分の箸だった。<k>父親はもっと遅くに帰ってくるのだろう。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000320tm">
「さ、どうぞ、食べて」


{
	CreateTextureEX("EV13",13, 0,-55, "cg/ev/ev5501_哲雄_食卓M.jpg");
	TransIn("EV13",1000,1000,"slide_03_00_1.png",false);
}
 蓉司は遠慮がちに箸を手に取った。

 先ほどまで空腹ではなかったのだが、美味しそうな匂いを嗅いでいるうちに食欲が湧いてきた。

 ちらりと横目に哲雄を見ると、すでに黙々と食べ始めていた。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000330yo">
「いただきます」

{
	CreateTextureEX("EV20",20, 0,0, "cg/ev/ev5501_哲雄_食卓.jpg");
	TransIn("EV20",1000,1000,"slide_03_00_1.png",false);

	CreateSE("SE01","se日常_食事_箸+茶碗");
	SEPlay("SE01",0,1000,false);
}
 味噌汁の椀を取り、一口啜った。

 出汁の旨みが効いたまろやかな味が舌の上を滑っていく。

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000340yo">
「……美味い」

 哲雄の母親が嬉しそうに笑う。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000350tm">
「ふふ。良かった」

 食べ始めたことで肩の力が抜けた。<k>どのおかずを取ろうかと見渡して、煮物の上で視線を留めた。

 突然、ある記憶が甦った。

{
	Delete("EV1*");

	CreateMask("マスク",40, 0,0, "cg/data/slide_07_00_0.png",true);
	CreateTextureEX("マスク/EV20",40, -300,-200, "cg/bg/bg020200_2_蓉司宅_マンション廊下_雨.jpg");
	Zoom("マスク/EV20",0, 2000,2000, null,true);
	Request("マスク/EV20", Smoothing);

	Fade("マスク",0,0,null,true);
	CreateTxNumEX2(31);

	Fade("マスク",1000,1000,AxlAuto,false);
	FadeTx(1000,0,false);
	FadeTx2(1000,1000,false);
}
 プラスチックの容器に詰められた煮物。<k>
 ビニール袋から零れて、部屋の前に落ちていた。

 ……あの煮物に似ている。
 そう思った。

 煮物など似たり寄ったりだから違う可能性もあるが、蓉司の目にはそれが同じものであるように見えた。

{
	FadeDeleteTx2(1000,0,false);
	FadeDelete("マスク",1000,false);
}
//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000360tm">
「あ、良かったら煮物たくさん食べてちょうだい。この子も好きでね、よく食べるのよ」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000370yo">
「あ、はい。いただきます」

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000380tm">
「いつも仕事で出掛けてるせいもあってね、この子の友達って会ったことないのよ。だから今日はびっくりしちゃって。仕事がお休みの日で本当に良かったわ」

 微かな罪悪感を覚える。<k>
 友達……ではないのだが、当然口には出さない。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000390tm">
「そういえば、今日も学校に行ったと思ったらすぐに帰ってきたからびっくりしてね」

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000391tm">
「担任の先生からは上級生と揉めたって聞いたけど……だからね、あんまり人様に迷惑かけちゃダメだって言ったんですよ」

 哲雄は何も言わずに箸を進めている。

 おそらく上屋の計らいで、母親には上級生を殴ったとは伝わっていないのだろう。

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000400tm">
「えっと……、ごめんなさい。お名前、もう一度聞いてもいい?」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000410yo">
「崎山です」

//【哲雄母】
<voice name="哲雄母" class="哲雄母" src="sp5/5000420tm">
「崎山くん。良かったら、これからも哲雄と仲良くしてやってね?」

//【蓉司】
<voice name="蓉司" class="蓉司" src="sp5/5000430yo">
「あ……、……はい」

//【哲雄】
<voice name="哲雄" class="哲雄" src="sp5/5000440te">
「…………」

 微笑まれながら頼まれては嫌と言えない。

 優しい母親。<k>温かいご飯と家。<k>哲雄は相変わらず無言だったが、心なしかいつもより雰囲気が柔らかいような気がした。

 学校では常に張り巡らされている見えない壁も、今は薄いように思う。

 だが、何故か漠然とした寂しさを感じていた。

 こんなに満たされているのに何かが外れている。<k>何か、うまく嵌っていないものがある。

 哲雄が話さないせいかとも思ったが、家族の前で言葉が少なくなるのは特に不自然なことではない。

 繕わなくとも安心して自分を曝け出せるから、余計な気遣いがなくなって言葉も減る。

 今感じている寂しさは、それとは違う。<k>
 何なのかはわからなかった。

 久々の家庭の味を楽しみながら、蓉司は頭の片隅で違和感の正体について考えていた。

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